【書評】『嫌われる勇気』〜人の顔色をうかがい続けた30代営業マンが、少しだけ楽になるまで〜
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
白状すると、私は人の顔色をうかがう天才です。
ルート営業という仕事柄、毎日いくつもの客先を回ります。相手の機嫌が少しでも悪いと、「何かまずいことを言っただろうか」と、次の訪問先へ向かう車の中でずっと引きずってしまう。会議では意見があっても手を挙げられず、帰り道に「また言えなかった」と自分を責める。自己肯定感の低さには、われながら年季が入っています。
『嫌われる勇気』は、ずっと前に一度読んだことがありました。ただ、当時は「良いことが書いてあるな」で終わっていた気がします。30代も半ばになり、同じ悩みをまだ抱えている自分に気づいて、もう一度ページを開きました。2回目の今回、この本は前とはまったく違う響き方をしました。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 嫌われる勇気 |
| 著者 | 岸見 一郎、古賀 史健 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 出版年 | 2013年 |
| ジャンル | 心理学・自己啓発 |
アドラー心理学を、悩める青年と哲人の対話形式で描いた大ベストセラーです。10年以上読み継がれ、感想レビューの数もけた違い。内容の詳細はぜひ本書で読んでいただくとして、ここからは私がどう受け取り、何が変わったかをお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①私の疲れの正体は、仕事ではなく「人」だった
読みながら最初に胸に刺さったのは、自分の毎日の疲れの正体でした。
営業の仕事そのもの——商品を届け、提案し、喜んでもらう——は、実は嫌いではありません。しんどいのは、相手にどう思われたかを延々と反芻している時間でした。訪問と訪問の間、運転しながら頭の中で再生される「さっきの一言、まずかったかな」。振り返れば、私のエネルギーの大半はそこに吸い取られていたのです。
本書が悩みと対人関係について語る一節に出会ったとき(詳しくはぜひ本書で)、「ああ、自分のことだ」と声が出そうになりました。問題の在りかが分かっただけで、少し息がしやすくなったのを覚えています。
②相手の機嫌は、私の課題ではなかった
本書に出てくる「課題の分離」という考え方は、2回目にしてようやく腹落ちしました。
お客様が今日、機嫌が悪かったとする。私は誠実に対応した。それでも機嫌が直らないなら——それはもう、私がコントロールできる領域の外にある。以前の私はここを全部背負い込んで、車の中で何時間も引きずっていました。
「引きずらなくなった」と言えば嘘になります。今も引きずります。ただ、「これは誰の課題だろう?」と一度問いかけるクセがついてから、引きずる時間が半日から30分に縮んだ。私にとってはこれだけで、本を読んだ元が十分に取れました。
③「特別な自分」でなくても、居場所はある
自己肯定感が低い人間にとって、いちばん優しかったのはここでした。
私はずっと、「もっと成果を出さないと」「もっと堂々と話せないと」と、今の自分に減点をつけ続けてきました。でも本書を読んで、誰かの役に立てている実感さえあれば、特別でなくても大丈夫だと思えるようになりました。
考えてみれば、10年続けている筋トレも同じでした。誰かと比べたら大した重量ではない。でも「先週の自分より少し増えた」で十分うれしい。仕事や人間関係も、他人との比較ではなく「昨日の自分」との比較でいい——そう思えた日から、月曜の朝が少しだけ軽くなりました。
私はこの本で、人の顔色と自分の機嫌の「境界線」を初めて意識できるようになりました。同じように消耗している方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見 一郎 ] 価格:1760円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
大げさな変身ではありませんが、確かな変化を正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 客先の不機嫌 | 半日引きずる | 「誰の課題?」と問い、30分で区切る |
| 会議での発言 | 顔色をうかがい沈黙 | 小さくても一度は口を開く練習中 |
| 自分への評価 | 他人と比べて減点 | 昨日の自分と比べて加点 |
私が実際に変えたこと
①客先を出たら、コーヒーで「区切りの儀式」
訪問を終えて車に戻ったら、まず好きなコーヒーを一口。「この件はここまで」と声に出して、次の訪問に頭を切り替えます。ばかばかしいようで、これがよく効きます。引きずりそうな日ほど、丁寧に一口。
②会議で「最初の10分以内にひと言」だけ発言する
いきなり堂々と意見を言うのは無理なので、ハードルを下げました。質問でも相づちの延長でもいい、最初の10分以内に一度だけ口を開く。回数を重ねると、「発言した自分」が少しずつ普通になっていきます。
③寝る前に「今日の小さな貢献」を1行だけメモ
「配達を1件前倒しできた」「後輩の質問に答えた」。その程度のことを、寝る前に1行だけ。自己肯定感の低い私には、自分の減点採点を中和する薬のようなものです。3週間続いていますが、書くことが見つからなかった日は一日もありませんでした。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『嫌われる勇気』は、こんな方にこそ読んでほしい一冊です。
- 人の顔色をうかがって、一日の終わりにどっと疲れている方
- 会議や人前で、言いたいことを飲み込んでしまう方
- 自己肯定感の低さを、ずっと自分の欠点だと思ってきた方
- 一度読んだけれど、「良い話」で終わってしまった方
タイトルは刺激的ですが、読後に残るのは「嫌われてもいい」という開き直りではなく、自分の課題に集中しようという静かな整理でした。私のように顔色をうかがう天才のあなたにも、その整理はきっと効くはずです。焦らず、少しずつでいきましょう。
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【PR】嫌われる勇気の購入はこちら私はルート営業で1日2〜4時間運転しますが、その時間はAudibleで本を「聴く」時間にしています。月2〜3冊読めているのは、正直この移動時間のおかげです。
当ブログで紹介している本も、Audibleで聴けるものが多くあります。「読む時間がない」と感じている方こそ、30日間の無料体験から試してみませんか?
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