【書評】『反応しない練習』〜クレームを運転中に思い出して引きずる営業マンが、手放し方を覚えるまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
ルート営業をしていると、こちらに落ち度のない場面でも頭を下げることがあります。納期の遅れ、仕様の行き違い、他部署の判断。謝ること自体は仕事のうちだと割り切れるのですが、問題はそのあとでした。
車に戻ってエンジンをかけ、次の訪問先へ向かう。そのハンドルを握っている数十分のあいだ、私はさっきの場面を何度も再生してしまうのです。あのとき何と言えばよかったのか、なぜあんな言い方をされなければならないのか。Audibleを流していても内容がまったく頭に入らず、気づけば同じ場面に戻っている。
人前で話すのが苦手で自己肯定感も低い私は、こういう出来事を人一倍長く引きずります。夜になっても消えず、翌朝また思い出す。仕事そのものより、そのあとの時間のほうが消耗していました。
この本のタイトルを見たとき、正直「反応しないなんて無理だろう」と思いました。それでも藁にもすがる気持ちで開いたのが、きっかけです。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 |
| 著者 | 草薙龍瞬 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| ジャンル | 自己啓発・仏教・メンタル |
僧侶である著者が、古い教えを現代の悩みに引き寄せて説いていく一冊です。どんな考え方が示されるのかは、ぜひ本書で受け取ってみてください。この記事では内容の解説ではなく、読んだ私の日常がどう変わったかに絞ってお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①出来事より、そのあとの「判断」で消耗していた
いちばん腑に落ちたのがこれでした。クレームを受けた事実そのものは、その場で終わっています。私を疲れさせていたのは、そのあとに自分で足していたもの——「自分はダメだ」「あの人は理不尽だ」という判断のほうでした。
車内で同じ場面を再生しているとき、私は出来事を思い出しているつもりでいて、実際には毎回そこに評価を上乗せしていました。回数を重ねるほど、記憶の中の相手はどんどん嫌な人になっていく。
起きたことは一回なのに、私は何十回も傷ついていた。そう気づいたとき、少しだけ肩の荷が下りました。
②私は、相手を変えようとして疲れていた
もうひとつ耳が痛かったのが、これです。理不尽な言われ方をしたとき、私が本当に望んでいたのは謝罪ではなく、「こちらの事情を分かってほしい」でした。
でも、相手が分かってくれるかどうかは私に決められることではありません。決められないことを望み続けるから、いつまでも終わらない。前々職でトレーナーをしていた頃も、やる気のないお客さまを何とか変えようとして空回りしたことが何度もありました。同じ構図を、私は何年も繰り返していたわけです。
自分にできることと、できないこと。この線を引き直すだけで、消耗の量がはっきり減りました。
③「わかってほしい」を手放すのは、諦めとは違った
最初は、これを冷たい考え方だと感じました。人に理解を求めないなんて、関係を放棄しているのではないかと。
でも実際にやってみると、逆でした。分かってもらおうと力むのをやめたほうが、目の前の相手の話をちゃんと聞ける。力んでいるあいだ、私は相手の言葉ではなく自分の弁明を考えていたのだと気づきました。
手放すというのは、諦めることでも、我慢することでもない。余計な力を抜くことでした。これは筋トレのフォームとよく似ています。力めば力むほど、効かせたい場所から力が逃げていく。
私はこの本で、嫌な出来事を持ち帰る時間が短くなりました。同じように引きずりやすい方は、ぜひ手に取ってみてください。
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 [ 草薙龍瞬 ] 価格:1650円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を、正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| クレームのあと | 運転中ずっと場面を再生していた | 再生していると気づいたら、そこで切るようにした |
| 理不尽な言われ方 | 分かってもらおうと考え続けていた | 自分に決められない部分だと線を引いた |
| 自分への評価 | 「またダメだった」と一日中責めていた | 出来事と評価を分けて見るようになった |
| 翌朝の気分 | 前日の場面を思い出して重かった | 引きずる日が明らかに減った |
私が実際に変えたこと
①車内で「いま反応している」と口に出す
ばかばかしく聞こえるかもしれませんが、これがいちばん効きました。運転中に同じ場面を再生し始めたら、声に出して「いま反応してるな」と言うだけです。
止めようとするのではなく、気づいて名前をつける。それだけで、不思議と一度途切れます。誰も乗っていない社用車だからこそできる方法で、私にはこの環境が向いていました。
②謝罪した日は、帰りのAudibleを止める
以前は移動時間を必ず学びに使おうとしていました。でも、頭に入っていない状態で流し続けても意味がありません。
嫌なことがあった日は、思い切って何も流さないようにしました。静かな車内は最初こそ落ち着きませんでしたが、慣れると考えが勝手に整理されていきます。詰め込むのをやめる日を作ったほうが、結果的に月の読書量は変わりませんでした。
③謝ったあとに自分を責める時間を、やめると決めた
これは意識の問題です。仕事として謝罪をした以上、そこで終わりと区切ることにしました。反省が必要なら次の行動を一つ決める。それ以上は考えない。
完璧にできてはいません。それでも「ここで終わり」と決めておくと、ずるずる続く時間が確実に短くなりました。自己肯定感が低い私にとって、これは想像以上に大きな変化でした。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『反応しない練習』は、こんな方におすすめです。
- 仕事で嫌なことがあると、帰宅後や翌朝まで引きずってしまう人
- クレーム対応や謝罪の多い職種で、心をすり減らしている人
- 人の言葉を真に受けやすく、自分を責める癖のある人
- 分かってもらえないことに、いつも疲れている人
仏教の考え方が土台にありますが、宗教の本という感じはしませんでした。むしろ、感情の扱い方をひどく現実的に説明してくれる本という印象です。
私はいまも理不尽な場面で腹を立てますし、落ち込みもします。それでも、引きずる時間が短くなっただけで日々の疲れ方がまるで違いました。同じところでぐるぐるしている方がいたら、よかったら試してみませんか。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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