【書評】『具体と抽象』〜「話が通じない」と思っていた30代営業マンが、噛み合わない原因を知るまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
上司と話していて、噛み合わないと感じることがあります。
こちらは目の前の取引先の話をしているのに、返ってくるのは「要はエリア全体をどう見るかだ」という話。具体的な相談をしているのに、大きな話にすり替えられた気がして、内心もやもやしていました。
逆のこともあります。後輩に「もっとお客さんをよく見ろ」と伝えたら、「何を見ればいいんですか」と真顔で聞かれました。答えられませんでした。自分でも何を言っているのか、はっきりしていなかったからです。
どちらも相手の問題だと思っていました。話が通じない人がいる、と。この本を読んで、その考え方こそが噛み合わない原因だったと分かりました。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ |
| 著者 | 細谷 功 |
| 出版社 | dZERO |
| ジャンル | 思考法・ビジネス |
具体と抽象という2つの視点から、ものの考え方を整理していく一冊です。どんな説明がされるのかは、ぜひ本書で確かめてみてください。この記事では内容の解説ではなく、読んだ私の会話がどう変わったかをお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①噛み合わないのは、立っている高さが違うだけだった
読んでいちばん腑に落ちたのがこれでした。
上司と私は、同じことについて違う高さから話していただけでした。私は一軒の取引先という地面の上にいて、上司はエリア全体を見下ろす場所にいる。どちらが正しいという話ではなく、見えているものが違う。
そう思えた瞬間、あのもやもやが消えました。すり替えられていたのではなく、私が高さを合わせずに話していたのです。相手を責めていた時間が、少しもったいなく感じます。
②私はずっと、具体の側にだけ立っていた
これは自分の弱点として受け止めました。
私の話し方は、ほとんどが個別の事例です。A社がこう言った、B社ではこうだった。事実を並べることは得意でも、そこから共通するものを取り出すのが苦手でした。
営業として現場を見ているつもりで、実は同じ地面を歩き回っているだけだったのかもしれません。10年近く同じ仕事をしていても、経験が積み上がっている感じがしなかった理由が、少し分かった気がしました。
③抽象的な言葉は、相手の中で勝手に翻訳される
後輩に「よく見ろ」と言って伝わらなかった理由も、はっきりしました。
抽象度の高い言葉は、便利なぶん受け取る側が自分の経験で埋めてしまいます。私が「見る」と言ったとき頭にあったのは在庫の並び方でしたが、後輩は表情や態度の話だと思っていました。噛み合うはずがありません。
前々職のトレーナー時代にも、同じ失敗をしていました。「もっと効かせて」という指示ほど伝わらないものはなかった。具体的に言えないのは、こちらの理解が浅いからだと、いまなら分かります。
私はこの本で、上司との会話のもやもやがなくなりました。話が通じないと感じている方は、ぜひ手に取ってみてください。
具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ [ 細谷 功 ] 価格:1980円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を、正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 噛み合わない原因 | 相手の理解力や関心のせいだと思っていた | 話している高さが違うだけだと分かった |
| 上司との会話 | 大きな話にすり替えられたと感じていた | 先に高さを合わせてから相談するようになった |
| 後輩への指示 | 「よく見ろ」で伝わると思っていた | 何を見るのかを具体的に言うようにした |
| 自分の話し方 | 事例を並べるだけだった | 事例の共通点を一言にまとめてから話す |
私が実際に変えたこと
①相談の前に「どの高さの話か」を先に言うようにした
いちばん効いた変更です。上司に話しかけるとき、「A社1軒の具体的な相談です」と最初に断るようにしました。
たったこれだけで、返ってくる答えが変わりました。以前は個別の相談をしているのに一般論が返ってきて、話が広がりすぎていたのです。高さを指定していなかったのは私のほうでした。
②後輩への指示から、抽象的な言葉を減らした
「よく見ろ」「しっかりやれ」の類をやめました。代わりに、棚の在庫が先月と比べてどう動いているかのように、行動として書ける言葉に置き換えています。
言い換えようとすると、自分が何を求めているのか分かっていない場面がしばしばありました。指示が抽象的なときは、たいてい私の考えが固まっていない。これは自分への点検として今も使っています。
③商談メモに、事例の共通点を書き足すようにした
訪問記録に事実を書いたあと、複数の取引先に共通することを一行加えるようにしました。
「3社続けて納期の話が出た」と書けると、それは個別の事情ではなく、地域全体の傾向として上司に話せます。以前の私は、3件別々の報告をして「で、どうしたいの」と言われていました。事例を束ねる作業を、まったくしていなかったのです。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『具体と抽象』は、こんな方におすすめです。
- 上司や取引先と話が噛み合わないと感じることがある人
- 後輩への指示が、なぜか伝わらないと悩んでいる人
- 経験は積んでいるのに、積み上がっている感じがしない人
- 説明が長くなりがちで、要点をまとめるのが苦手な30代
薄い本ですが、読んだあとの見え方が変わる一冊でした。内容が難しいというより、自分の癖を見せられるのがきついタイプの本だと思います。私はしばらく、自分の話し方が気になって仕方ありませんでした。
いまも意識しないと具体の側に寄ります。それでも、噛み合わないときに相手を責めなくなっただけで、職場での気持ちはずいぶん楽になりました。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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