【書評】『イノベーションのジレンマ』〜取引先が安い新商品に流れる理由が分からなかった30代営業マンが、負け方を知るまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
長く付き合っていた取引先が、他社の安い商品に切り替えたことがあります。
正直、納得できませんでした。品質はうちのほうが上です。実績もある。どう考えても選ぶ理由がないと思っていました。担当として、悔しさより先に「見る目がない」という気持ちが出たのを覚えています。
ところが、その半年後に別の先でも同じことが起きました。二度目になると、さすがに自分の見方を疑います。
負けている理由が分かっていない。この本を手に取ったのは、その一点でした。経営の本なので自分には縁遠いと思っていましたが、起きていることは目の前の話と同じかもしれない、と。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | イノベーションのジレンマ 増補改訂版 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき |
| 著者 | クレイトン・M・クリステンセン |
| 出版社 | 翔泳社 |
| ジャンル | 経営・イノベーション |
優れた企業が、正しく経営していたのに負けていく仕組みを扱う一冊です。どんな分析が示されるのかは、ぜひ本書で確かめてみてください。この記事では内容の解説ではなく、読んだ私が担当先の見方をどう変えたかをお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①負けた側は、間違ったことをしていなかった
いちばん意外だったのがこれでした。
私は「油断した」「手を抜いた」から負けるのだと思っていました。ところが本書が扱っているのは、正しくやっていたのに負けるという話です。
いい顧客の声を聞き、利益率の高い商品を伸ばし、品質を上げる。全部まっとうな判断です。それを積み重ねた先で、足元をすくわれる。努力の方向が間違っていたわけではない。ここが理解できていませんでした。
②「品質はうちが上」は、答えになっていなかった
これは自分の口ぐせに刺さりました。
品質で上回っているのは事実です。でも、取引先が求めている水準を、すでに超えていたのかもしれない。十分な品質に達したあと、それ以上の品質にお金を払う理由は薄くなります。
前々職と重なりました。ジムでも、上級者向けの高機能なマシンより、初心者が怖がらずに使える簡単なマシンのほうが稼働していました。私はいつも「良いもの」の定義を、自分の側で決めていた。
③自分の担当先でも、同じことが起きていた
読み進めながら、具体的な顔が浮かびました。
切り替えた先は、うちの商品を持て余していたのだと思います。使わない機能の分まで払っていた。そこへ、必要な機能だけの安い商品が来た。それは見る目がないのではなく、合理的な判断でした。
正直、この結論に行き着くまでは気分が良くありませんでした。自分が悔しがっていた理由は、相手ではなく自分の思い込みにあった。
私はこの本で、失注を相手のせいにしなくなりました。取引先が離れていく理由が分からない方は、ぜひ手に取ってみてください。
イノベーションのジレンマ増補改訂版 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき [ クレイトン・M・クリステンセン ] 価格:2640円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を、正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 失注したとき | 相手の見る目を疑っていた | 何が過剰だったかを考える |
| 品質 | 高いほど良いと思っていた | 相手の必要量を超えていないか見る |
| 安い競合 | 質が低いと切り捨てていた | どこを削ったのかを調べる |
| 長い付き合いの先 | 安泰だと思っていた | 使われていない機能を確認する |
私が実際に変えたこと
①失注した先に、理由を1つだけ聞くようにした
以前は気まずくて聞けませんでした。断られた相手に連絡するのは、自己肯定感の低い人間には重い作業です。
いまは「今後の参考に、決め手を1つだけ教えてください」と聞きます。1つだけ、と限定すると相手も答えやすい。返ってきた答えは、私の予想と半分くらい違っていました。聞かなければ、ずっと自分の物語のままだった。
②担当先が使っていない機能を、洗い出した
これは地味な作業です。納入している商品のうち、実際に使われている機能を確認して回りました。
結果、使っていない部分に払ってもらっている先が、思ったよりあった。そこは他社に切り替えられる予備軍です。気づけたので、より簡単な商品を先に提案できるようになりました。自社の売上を一時的に下げる提案ですが、丸ごと失うよりましだと思っています。
③安い競合を、値段以外の目で見るようにした
以前は「安かろう悪かろう」で片づけていました。
いまは、何を削って安くしているのかを調べます。削っている部分が、相手にとって要らない部分なら、それは正しい商品です。認めたくない事実でしたが、認めないと打ち手が出てきません。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『イノベーションのジレンマ』は、こんな方におすすめです。
- 長い付き合いの取引先に、突然切り替えられた経験のある人
- 「品質はうちが上」で説明を止めてしまう人
- 安い競合を、質が低いと切り捨てている人
- 経営の本は自分に関係ないと思っている30代の営業職
分厚くて硬い本です。ハードディスク業界の話が延々と続くので、そこで脱落しかけました。 私は「これは自分の担当先の話だ」と置き換えながら読んで、なんとか最後まで行きました。
経営者向けの本だと思って避けてきましたが、現場で起きていることの説明書でもありました。失注の理由が分からずもやもやしている方は、一度読んでみませんか。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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