【書評】『FACTFULNESS』〜思い込みで取引先を決めつけていた30代営業マンが、数字を見に行くまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
「あの取引先はもう伸びない」
営業所でよく聞く言葉ですし、私自身も言っていました。根拠を聞かれたら、たぶん答えられません。何年か前の印象が、そのまま残っているだけです。
ルート営業は同じ先を回り続ける仕事なので、一度できた印象が更新されにくいという問題があります。数字は毎月出ているのに、見ているのは合計だけ。個別の推移までは追っていませんでした。
冒頭のクイズで、私は見事に間違えました。しかも自信を持って間違えた。そこで「これは取引先の話と同じだ」と思ったのが、読み進めたきっかけです。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 |
| 著者 | ハンス・ロスリング ほか |
| 出版社 | 日経BP |
| ジャンル | 統計・思考法・教養 |
思い込みの種類を整理し、データで確かめる習慣を扱う一冊です。どんな思い込みが挙げられるのかは、ぜひ本書で確かめてみてください。この記事では内容の解説ではなく、読んだ私の仕事の見方がどう変わったかをお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①自信のある思い込みほど、確かめていなかった
いちばん堪えたのがこれでした。
クイズを外したこと自体より、外したのに自信があったことがこたえました。知らないなら調べます。知っているつもりだから調べない。
取引先の評価がまさにそれでした。「あそこは伸びない」と言い切れるくらい確信があるから、確認しようという発想が出てこない。確信の強さと正しさは、まったく別物でした。
②悪いか良いかではなく、どちらへ動いているか
これは実務で効きました。
私はいつも「良い先/悪い先」で分けていました。でも大事なのはいまどちらへ動いているかです。数字が小さくても伸びている先と、大きくても落ちている先では、打つ手がまるで違います。
前々職でも同じでした。体重だけを見て一喜一憂する会員さんに、私は「線で見てください」と言っていたはずです。自分の担当先は、点でしか見ていませんでした。
③恐れと焦りが、判断を歪めていた
これは自覚がありませんでした。
月末に数字が足りないとき、私は動きが極端になります。急に訪問を増やしたり、無理な提案をしたり。焦っているときの判断は、たいてい後で見ると変でした。
本書に出てくる、急ぐ気持ちが判断を狂わせるという話は、そのまま自分に当てはまりました。焦りは消せません。ただ、焦っていると自覚できるだけで、一拍おけるようになりました。
いまは月末に決めた提案をその場で出さず、翌朝もう一度読んでから出しています。半分くらいは書き直しています。焦って書いたものは、たいてい相手の都合が抜けているからです。
私はこの本で、取引先を印象で決めつけなくなりました。思い込みで判断している自覚がある方は、ぜひ手に取ってみてください。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ] 価格:1980円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を、正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 取引先の評価 | 数年前の印象のままだった | 直近の推移を見て更新する |
| 数字の見方 | 合計だけを点で見ていた | 先ごとに線で見る |
| 確信の強さ | 正しさの証拠だと思っていた | 確かめない理由になると知った |
| 月末の焦り | そのまま行動していた | 焦っていると認めて一拍おく |
私が実際に変えたこと
①担当先の数字を、24か月分並べて見た
まずこれをやりました。合計ではなく、先ごとに2年分を横に並べるだけです。表計算に打ち込むのに2時間かかりました。
結果は予想と違いました。「もう伸びない」と思っていた先が、実は微増を続けていた。逆に、良い先だと思っていたところが1年半かけて落ちていました。私の頭の中の順位と、実際の順位が入れ替わっていたわけです。
②驚く数字を見たら「何と比べて?」と口に出す
これがいちばん日常で使えています。
たとえば「クレームが今月30件」と聞くと、反射的に大問題だと感じます。ですが先月が28件で、取引件数が1.5倍に増えていたなら、話はまるで違います。数字は単体では意味を持ちません。
やることは2つだけです。比較する(前月と、他エリアと)。割り算する(件数ではなく率で見る。クレーム件数÷取引件数)。
自分が報告する側のときにも効きました。比較と率を添えるだけで、同じ数字がずっと通りやすくなります。以前は件数だけを持っていって、上司から「で、それは多いのか」と聞き返されていました。
③トラブルのときは「誰が」ではなく「何が」を先に聞く
納品の間違いが起きたとき、私は真っ先に誰の担当かを確かめていました。悪気はなく、状況を把握するつもりです。
ですが担当者が分かった時点で、原因を考えるのをやめてしまっていました。人が特定できると、そこで納得してしまう。 実際には、伝票の様式が紛らわしいとか、確認の手順が抜けているとか、仕組みの側に理由があることのほうが多いです。
いまは「何がそうさせたか」を先に聞きます。後輩への聞き方も変わりました。責める形にならないので、報告が早く上がってくるようになったのは思わぬ効果です。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『FACTFULNESS』は、こんな方におすすめです。
- 「あそこはもう駄目だ」を根拠なく言ってしまう人
- 数字を合計でしか見ていない人
- 焦っているときに変な判断をしてしまう自覚のある人
- 長く同じ相手と付き合っていて、印象が固定している30代
世界の統計の本だと思って読み始めましたが、効いたのは自分の担当先の見方でした。扱っている題材が大きいので、身近な話に引き寄せないと読み流してしまうかもしれません。
いまも思い込みはあります。それでも、確信が強いときほど疑うようになりました。決めつけている自覚がある方は、まず手元の数字を並べてみませんか。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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