【書評】『失敗の科学』〜ミスを隠したくなる30代営業マンが、報告できるようになるまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
数量を一桁間違えて発注したことがあります。
気づいたのは翌朝でした。そのときまず頭に浮かんだのは、どう直すかではなく「どう説明すれば怒られずに済むか」でした。結局その日の午前中いっぱい、報告のタイミングを計って動けませんでした。
自己肯定感が高いほうではありません。失敗するたびに、能力を疑われた気がして落ち込みます。だから隠したくなる。隠すつもりはなくても、報告が遅れる。その数時間が、いつも被害を大きくしていました。
この本を手に取ったのは、失敗しない方法を知りたかったからではありません。失敗したあとの自分の動き方を、なんとかしたかったからです。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 |
| 著者 | マシュー・サイド |
| 出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
| ジャンル | ビジネス・思考法・組織論 |
失敗との向き合い方を、さまざまな分野の事例から掘り下げていく一冊です。どんな話が出てくるのかは、ぜひ本書で確かめてみてください。この記事では内容の解説ではなく、読んだ私の行動がどう変わったかをお話しします。
私がこの本から受け取った3つのこと
①私が守っていたのは、会社ではなく自分の評価だった
読みながら、いちばん認めたくなかったのがこれです。
報告が遅れる理由を、私は「まず状況を整理してから」と説明していました。もっともらしい言い分ですが、実際は違います。整理していたのは状況ではなく、自分の立場でした。
この構えでいるかぎり、失敗は情報になりません。私の中だけで処理されて、誰にも共有されないからです。同じミスを別の誰かが繰り返しても、防ぎようがない。隠すことのいちばんの害は、怒られないことではなく、学びが誰にも渡らないことでした。
②失敗を責める場では、失敗が見えなくなる
これは自分の職場を思い出しながら読みました。
ミスの報告に対して、まず原因より先に「誰がやったか」が問われる空気があります。悪意はなくても、そうなると次からは言いにくい。報告が減るのは、ミスが減ったからではありません。
前々職のジムでも似た経験があります。フォームが崩れている人に強く指摘したら、その人は私が見ていないときだけ我流に戻るようになりました。隠れてやるようになっただけで、危険は増えていた。指摘の仕方ひとつで、見える範囲が変わってしまうのだと学びました。
③失敗そのものより、検証しないことが問題だった
私は失敗したあと、落ち込むことで済ませていました。反省と称して気分を沈ませて、それで償った気になっていたのです。
でも落ち込むことは検証ではありません。なぜ起きたのかを一度も分解していなかったので、対策も立ちようがない。あの発注ミスも、原因は集中力ではなく、確認のタイミングを決めていなかったことでした。落ち込んでいるあいだ、そこには一度も目が向いていませんでした。
私はこの本で、ミスの報告が当日中にできるようになりました。失敗を隠したくなる方は、ぜひ手に取ってみてください。
失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 [ マシュー・サイド ] 価格:2530円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を、正直にまとめます。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| ミスに気づいた直後 | どう説明するかを何時間も考えていた | 事実だけを、その場で先に伝える |
| 失敗のあとの時間 | 落ち込むことで反省した気になっていた | 何が起きたかを分解して書き出す |
| 後輩のミスへの反応 | つい「誰がやったか」から入っていた | 何が起きたかから聞くようにした |
| 失敗の捉え方 | 能力を疑われる材料 | 次に同じことを防ぐための情報 |
私が実際に変えたこと
①ミスは、原因が分かる前に報告するようにした
いちばん大きな変更です。以前は原因と対策をそろえてから報告していました。いまは「これが起きました。原因はまだ分かりません」の段階で伝えます。
正直、最初は怖かったです。ところが実際にやってみると、早く言ったほうが怒られませんでした。上司が困っていたのは私がミスをしたことではなく、知るのが遅くて手を打てないことだったのだと、ようやく分かりました。
②月末に「うまくいかなかったこと」を書き出す時間を作った
手帳の最後のページに、その月に起きた失敗を書き出しています。数行ずつ、3〜4件です。
やってみて意外だったのは、同じ種類のミスが並ぶことでした。私の場合、ほとんどが確認のタイミングに関するものでした。1件ずつ見ていた頃はただの不注意でしたが、並べたら癖だと分かった。書き出さなければ一生気づかなかったと思います。
③後輩のミスに、「誰が」から入るのをやめた
自分がされて嫌だったことを、していました。報告を受けたとき、最初に出る言葉を「何が起きた?」に固定しています。
たったこれだけですが、報告が早くなりました。相手が身構えなくなったのが分かります。あのジムでの経験を、10年越しにようやく仕事に活かせた気がしています。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『失敗の科学』は、こんな方におすすめです。
- ミスをしたとき、まず言い訳を考えてしまう人
- 報告が遅れて、被害を大きくした経験のある人
- 落ち込むことを反省だと思っている自覚のある人
- 後輩や部下のミスに、どう反応すべきか迷っている30代
読み終えて感じたのは、これは強い人になるための本ではないということでした。むしろ、弱いままでも失敗を扱えるようにするための本です。私は相変わらず失敗すると落ち込みますし、隠したい気持ちも湧きます。
それでも、その気持ちが湧くこと自体は正常だと分かっただけで、動きが変わりました。失敗のたびに自分を責めて止まってしまう方がいたら、責める先が違うのかもしれません。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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