【書評】『論語と算盤』〜数字と誠実さのあいだで揺れる30代営業マンが、両立の意味を捉え直すまで〜
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
月末が近づくと、少しだけ嫌な自分が出てきます。
来月でいい注文を、今月に前倒しでお願いできないか。必要な数より少し多めに置いてもらえないか。どちらも違法ではありませんし、断られたら引き下がります。ただ、車に戻ったときの後味は良くありません。
数字を追うことと、相手のためを思うことは、たぶん両立します。頭では分かっているのに、月末になると片方が勝つ。この揺れ方を、自分の弱さの問題だと思っていました。
100年以上前の実業家が書いた本に答えがあるとは期待していませんでした。手に取ったのは、新しい紙幣の顔になったのを見て、名前だけ知っている人の本を1冊くらい読んでおくか、という程度の動機です。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 現代語訳 論語と算盤 |
| 著者 | 渋沢栄一 |
| 出版社 | 筑摩書房 |
| ジャンル | 経営・古典 |
500以上の企業設立に関わった実業家が、道徳と経済の関係について語った講演をまとめた一冊です。現代語訳なので、古典が苦手でも読み進められます。中身は本書で確かめていただくとして、ここでは月末に揺れる営業が何を受け取ったかを書きます。
私がこの本から受け取った3つのこと
①両立とは、半分ずつのことではなかった
私はずっと、両立を「足して2で割ること」だと思っていました。少し無理を言う代わりに、少し丁寧に対応する。差し引きゼロならいいだろう、と。
この本を読んで、その計算自体が間違っていたと気づきました。片方を削って埋め合わせるのは両立ではありません。 同じ一つの行動が、両方を満たしているかどうか。問い方が変わりました。
②長く続けることを前提にすると、答えが変わる
前倒しのお願いは、その月だけを見れば得です。ただ、10年通う相手だと考えると話が違ってきます。
私が担当している取引先には、5年、10年と続いている先が何軒もあります。時間の幅を伸ばして考えるだけで、月末の判断はかなり整理できました。
③古い本なのに、説教されている感じがしなかった
100年前の実業家が語る道徳、と聞いて身構えていました。実際に読むと、理想を語りながらも現実の商売から目を離していない。ここが意外でした。
理想だけを語る本なら、たぶん最後まで読めていません。算盤の側を捨てていない人の言葉だからこそ、月末の自分にも届いたのだと思います。
私はこの本で、月末の判断のしかたが変わりました。気になった方は、ぜひこちらから手に取ってみてください。
価格:1012円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を書き出します。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 両立の意味 | 足して2で割ることだと考えていた | 一つの行動で両方を満たせるかを問う |
| 判断の時間軸 | その月の数字で決めていた | 10年通う相手として考える |
| 古典への構え | 説教されるものだと決めつけていた | 現実を見ている言葉なら届く |
私が実際に変えたこと
①月末の前倒しのお願いを、やめた
正確に言うと、やめたのは「こちらから切り出すこと」です。相手の在庫や販売の状況を見て、本当に必要そうなときだけ提案します。
数字は、その月だけ見れば落ちました。ただ翌月の反動がなくなったので、四半期で見ると変わっていません。むしろ月ごとの上下が小さくなって、自分の気分が安定しました。
②断られた提案を、記録に残すようにした
以前は断られたらそこで終わりでした。いまは、なぜ断られたのかを一行だけ書いて残します。
3か月ほど溜まると、その取引先が何を大事にしているかが見えてきます。次の提案が通りやすくなったのは、その積み重ねだと思います。
③自分の判断を、一晩置いてから実行する
月末の判断ほど、その場で決めないようにしました。翌朝に読み返すと、前夜の自分が焦っていたことがよく分かります。
一晩置くと機会を逃すのでは、と最初は心配していました。実際にやってみると、一日待って消えてしまう話はほとんどありませんでした。消えるようなものは、もともと相手にとって必要ではなかったのだと思います。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『論語と算盤』は、こんな方におすすめです。
- 数字を追うことと、誠実でいることのあいだで揺れている人
- 月末になると、自分が少し嫌になる人
- 古典は説教くさいと思って避けてきた人
- 同じ相手と長く付き合う仕事をしている人
新しい紙幣の顔だから、という軽い動機で読み始めましたが、いちばん現実的な本でした。100年前の商売の話が、月末の自分の背中を押してくるとは思っていませんでした。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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