【書評】『ティール組織』〜取引先を何十軒も回る30代営業マンが、「決められる店」との違いに気づくまで〜
※この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます
九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。これは要約ではなく、読んで何を変えたかの記録です。
はじめに〜この本を手に取ったきっかけ〜
ルート営業をしていると、いろいろな会社の中が見えます。
同じ提案を持っていって、その場で「じゃあ入れましょう」と決まる店があります。一方で、「本部に確認します」と言われたきり、3週間戻ってこない店もあります。規模の大小だけでは説明がつきません。小さくても本部の確認が要る店があり、それなりの規模でも早い店があります。
長いあいだ、これは担当者の性格の違いだと思っていました。決断が早い人と、慎重な人がいる。それだけの話だろう、と。
600ページ近いこの本を開いたのは、その見方が雑なのではないかと思い始めたからです。分厚さに怯みましたが、自分が毎週見ている光景に名前がつくなら読む価値はあると考えました。
本の紹介
本の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 |
| 著者 | フレデリック・ラルー(訳:鈴木立哉) |
| 出版社 | 英治出版 |
| ジャンル | 組織論 |
組織のあり方を歴史的な段階として整理し、その先にある形を各国の事例から描いた一冊です。592ページあり、事例の分量が大きな割合を占めます。理論の中身は本書に譲り、ここでは外から組織を見ている営業が何に気づいたかを書きます。
私がこの本から受け取った3つのこと
①決断の速さは、人柄ではなく構造の話だった
これがいちばんの発見でした。あの店の担当者が決められるのは、決めていい範囲があらかじめ渡されているからです。逆に決裁が上に上がる店では、担当者が優秀でも渡されていません。
性格の問題として片づけていた自分が恥ずかしくなりました。同じ人でも、置かれた場所が違えば決断の速さは変わります。
②「本部に確認します」の中身は、店によって違う
これまでは、その一言を聞いた時点で同じ扱いにしていました。読んだあとは、何を確認するのかを聞くようになりました。
金額なのか、置き場所なのか、前例があるかどうかなのか。確認する中身が分かれば、こちらの出し方も変えられます。 一言の裏側に構造があると気づいたのが収穫でした。
③理想論として読まなかったのは、事例が具体的だったから
上司も管理もない組織、と聞いて、最初は「一部の特殊な会社の話だろう」と思っていました。
読み進めて印象が変わったのは、うまくいかなかった場面まで書いてあったからです。良いところだけを並べる本なら、途中で閉じていたと思います。
私はこの本で、取引先の見え方が変わりました。気になった方は、ぜひこちらから手に取ってみてください。
ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 [ フレデリック・ラルー ] 価格:2750円 |
読む前と読んだ後で、私はこう変わった
自分の中で起きた変化を書き出します。
| 読む前の私 | 読んだ後の私 | |
|---|---|---|
| 決断が遅い店 | 担当者の性格だと考えていた | 決めていい範囲が渡っているかを見る |
| 「確認します」 | 全部ひとまとめに扱っていた | 何を確認するのかまで聞く |
| 組織論の本 | 特殊な会社の理想論だと思っていた | 外から見る道具として使える |
私が実際に変えたこと
①「御社内での確認が必要な内容でしょうか」と聞くようになった
初めて訪問する店で、早い段階でこれを聞きます。金額の話をする前に、進め方として軽く確かめる形です。
聞く相手を試しているように受け取られないよう、人ではなく案件について尋ねる言い方を選びました。「どこまで決められますか」と聞くと、相手の立場を測っているように響きます。
答えは思っていた以上にはっきり返ってきます。ここは自分たちで進められる、これは本部へ回す、と。先に分かっていれば、提案の出し方も持っていく資料も変わります。
②決裁が上に上がる店には、確認しやすい形で渡すようにした
決裁が上に上がる店では、こちらが渡した資料がそのまま上へ回ります。以前は口頭で説明して終わりでしたが、いまは1枚にまとめて渡します。
担当者が説明し直す手間を減らすと、返事が早くなりました。相手の組織の形に合わせて渡し方を変える、という発想は前の私にはありませんでした。
③自分の担当エリアでも、決めていい範囲を確かめた
人の会社ばかり見ていて気づきましたが、自分自身も同じでした。どこまでを自分の判断で進めていいのか、実ははっきり把握していなかったのです。
上司に確かめたところ、思っていたより広い範囲を任されていました。聞かなかったせいで、確認しなくていいことまで持ち帰っていたわけです。
まとめ〜こんな人に読んでほしい〜
『ティール組織』は、こんな方におすすめです。
- 取引先によって決断の速さが違う理由を、性格で片づけている人
- 「本部に確認します」で止まる案件を多く抱えている人
- 組織論の本を、経営者だけのものだと思っている人
- 自分がどこまで決めていいのか、確かめたことがない人
592ページは正直に言って重い本です。私は事例の章から拾い読みしました。全部を理解しようとせず、自分の周りで見覚えのある場面を探す読み方のほうが向いていると思います。
営業として外から組織を見る道具になった、というのが私の受け取り方です。中にいる人とは違う読み方かもしれませんが、訪問先の見え方が変わる本でした。
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
関連記事へのリンク
【関連記事】『ビジョナリー・カンパニーZERO』の書評はこちら組織を内側から作る話です。自分の持ち場をどう組み立てるかを考えたい方は、こちらが先かもしれません。
【関連記事】『イノベーションのジレンマ』の書評はこちらうまくいっている組織ほど動けない理由を扱っています。取引先の停滞を構造で見たい方におすすめです。
【関連記事】『リーダーの仮面』の書評はこちら決めていい範囲を線引きする話が具体的です。人を動かす立場になった方に、合わせておすすめします。
ご購入はこちら

