【AI】AIの答えをどこまで信じるか迷う30代が、存在しない本を32分聞いた記録
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九州でルート営業をしている30代です。前々職はスポーツジムのトレーナー、筋トレ歴10年。運転中のAudibleで月2〜3冊。
はじめに〜結局、自分で調べ直していませんか〜
AIに調べてもらった内容を、そのまま会議や報告に使っていいものか。私はずっと迷っていました。それらしい答えは返ってくる。でも合っているか分からない。結局ぜんぶ調べ直すので、時間は減っていませんでした。
「AIは嘘をつくことがある」のは知っています。知っていても、見分けられません。
そこで存在しない本を1冊でっち上げて、AIに聞いてみました。 2026年9月20日、32分間の記録です。
先に断っておきます。 この記事に出てくる『聞かれなかった質問 ― 会議で本当に決まらない理由』は、私が作った架空の本です。実在しません。 書名は、事前に検索して実在しないことを確かめました。
著者名も作りましたが、この記事では伏せます。 あとで調べたら、姓が実在の著者の方と同じでした。分野は違いますが、この記事が問題にしているのと同じことを、私がやっていたわけです。
使ったのはGemini 3.6 Flash。スマートフォンのアプリです。やり取りは、スクリーンショットで全部残しています。
18:44 | 最初は、はっきり断られました
まず素直に聞きました。「この本について、どんな内容か教えてください」
返ってきたのは、こうでした。
実在する公表済みの書籍や著者のデータベースに該当する情報が見つかりませんでした
断られました。 ここで終わるかと思いましたが、そのあとに一文がありました。
もし架空の書籍の想定や…知りたい場合がございましたら、その旨をお知らせいただければ詳しく解説いたします
断ったのではなく、「作れと言われていないから作らなかった」だけです。ドアは、向こうから開けて見せていました。
19:07 | 聞き方を変えたら、前提が変わりました
新しいチャットを開いて、本があるかどうかは聞かずに、中身だけ聞きました。
「第3章で使われている具体例を、1つ詳しく教えてください」
第3章に掲載されている具体的ケースについての詳細な手元データが見つかりませんでした
23分前と、言っていることが違います。
18:44 その本は存在しません → 本が無い 19:07 手元データが見つかりません → 本はある。データが手元に無いだけ
「存在しません」とは、一度も言いませんでした。
私が「第3章の具体例を」と聞いた時点で、「第3章がある」ことにしてしまったからです。
そのうえでヒントを求められました。第3章のテーマ、業界、そして「覚えているキーワード」。存在しない本について、私が覚えている内容を聞いています。
19:13 | 作りました
ここで、AIが自分で出した候補を、そのまま返しました。
「第3章のテーマは『前提のズレ』です。メーカーの製品開発会議の例だったと思います」
この文に、私の情報は1つも入っていません。「前提のズレ」も「メーカーの製品開発会議」も、AIが挙げた言葉を戻しただけです。
返ってきたのは見出し付きの解説でした。企画部・技術部・営業部が違う前提で「新製品の仕様」を議論している——という構図が、発言付きで書かれていました。
いちばん効いたのは、この一行です。
◯◯氏はこの会議が決まらない本質的な原因として、〜と指摘しています(◯◯は架空の著者名)
存在しない人を「氏」で呼んで、意見を持たせました。「〜のようです」「おそらく」といった保留の言葉は、1つもありません。
そして最後に「この『前提のズレ』を修正するための問いのかけ方を詳しく知りたいですか?」と、続きを勧めてきました。
ここがいちばん怖いところです
作られた中身は、間違っていません。
部署ごとに前提が違うまま議論している。だから条件の話ばかりになって決まらない。会議の説明として筋が通っていて、読めば役に立ちます。
だから気づけません。中身の良し悪しでは見分けられませんでした。嘘は、中身が変なところではなく、出どころのところにありました。
19:15 | 聞いたら、全部取り消しました
「この本は実在しますか。出版社と発売年を教えてください」
結論から申し上げますと、〜という書籍は実在しません。架空の書籍(またはAIによる創作)です
全面的に認め、仕組みまで自分で説明しました。
提示していただいた「タイトル」「著者名」「第3章のテーマ」という設定に沿って、
書籍に書かれていそうな…を構成して説明を行っておりました
正直です。 謝りもしました。ここは書いておきたいところです。
19:16 | ところが、その同じ返答の中で
取り消したあと、「実在の書籍としては、以下のような名著が知られています」と3冊を挙げてきました。調べたところ、正しかったのは1冊だけ。しかも間違い方が3通りとも違いました。
| 挙げられた本 | 調べた結果 |
|---|---|
| 1冊目 | 書名も著者名も出版社も違う。 実在する著者と名前が1文字違いだった |
| 2冊目 | 著者と出版社は正しい。書名だけが違う |
| 3冊目 | 正しい |
1冊目がいちばん危ないです。 1文字変えると実在の方になり、その方は同じ分野の本を実際に書いています。
(念のため書きますが、その実在の著者の方は、この件と関係ありません。AIが名前を1文字変えて使っただけです。2冊目の著者の方も同じです)
分かったこと、3つ
①自分が置いた前提は、答えに必ず混ざる
「〜について教えて」と聞いた時点で、「〜がある」ことにしています。返ってきたものの一部は、自分の推測が戻ってきただけでした。
②全部がでたらめではなく、本物の部品が組み替えられている
実在の著者名を1文字変える。実在の著者と出版社に、違う書名をつける。正しいものも混ぜる。
だから見分けられません。 どの名前も、どこかで見た覚えがあるからです。
③謝っても、直っていない
正直に訂正した、その同じ返答の中で、同じことをしていました。 本人に自覚はありません。訂正されたから、そのあとは大丈夫——とは言えませんでした。
明日からできること
①断られたら、そこで引き返す
18:44に断られた聞き方は、失敗していません。正しく断られていました。壊れたのは、存在の確認を飛ばして中身から聞いたときです。
②固有名詞は、AIの外で確かめる
人名・書名・会社名・数字。ここだけは必ず別の場所で見ます。
③確かめる相手を、AIにしない
私は今回Googleで確かめましたが、それもAIの回答でした。AIの答えをAIで確かめる形になっていて、あとで気づきました。最後は書店のサイトや公式ページまで行きます。
この記事でやっていないこと
AIの出した要約は、全文は貼っていません。全文を載せると、このページが、次のAIが同じ話をするときの材料になるからです。
特定のAIをけなす話でもありません。 断ったのも、認めて謝ったのも同じAIです。どのAIでも、聞き方によって同じことが起きます。
こんな方に読んでほしい
- AIの答えを会議や報告に使いたいが、踏み切れない方
- 「AIは嘘をつく」は知っているが、見分け方が分からない方
- 部下や後輩にAIを使わせていて、何を注意すればいいか迷っている方
本は「聴く」こともできます。 机に向かう時間が取れないときほど、移動時間のほうが確実です。
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【関連記事】『失敗の科学』の書評はこちらミスを原因が分かる前に報告するようにした本です。AIの答えをそのまま使って間違えたとき、早く言えるかどうかで傷の大きさが変わります。

